フランスの教育制度と特徴を分かりやすく解説!学歴社会で学業重視

日本とフランスでは、教育制度や特徴に違いがあります。

それは、義務教育期間が3歳からスタートしたり、学校の長期休暇が多いなど様々。

日本と比べてみた時に、フランスの子どもが学校でどのように生活しているか、気になるお父さん、お母さんもいることでしょう。

そこで、今回はフランスの教育制度がどのようなものか、資料や知人への聞き込みなど様々な情報を集め、日本との違いをまとめてみました。

まずは、フランスの教育制度の概要を見ていきましょう。

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フランスの教育制度と特徴

項目 内容
学校制度 5・4・3・3制

※大学学部は3年制であるが、他の高等教育機関の場合は3年とは限らない。

義務教育 3~16歳
学校年度 9月~翌年6月末、または7月上旬

※年度によって異なる

学期制 3学期制
学費 公立:無料

私立:有料  ※学校によって異なる

(参考:外務省 諸外国・地域の学校情報 フランス

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フランスの義務教育

フランスの義務教育は3~16歳の13年間です。

以前は6~16歳でしたが、2019年の9月から義務教育のスタートが6歳から3歳に引き下げられました

理由は、未就学児の時に教育を受けられない子どもの教育格差を失くすためです。

【フランスの義務教育期間】

  • 幼稚園 :3~5歳
  • 小学校 :6~10歳
  • 中学校 :11~15歳
  • 高等学校:16~18歳

幼稚園~高校1年生までが義務教育になります。

フランスでは、義務教育が始まる前の未就学児(日本でいう小学校入学前の児童)は、エコール・マテルネルと呼ばれる幼稚園で、幼児教育を受けるのが一般的です。

その後、6歳に入学してから10歳までの5年間は、エコール・プリメールと呼ばれる小学校で、初等教育を受けます。

フランスでは、小学校で飛び級制度があったり、授業についていけないと留年することもあります。

小学校卒業後は、11歳~15歳までの4年間を、コレージュと呼ばれる中学校で中等教育を受けます。


そして、中学校卒業後、16歳~18歳までの3年間を、リセと呼ばれる高等学校に通います。

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フランスの年間スケジュール

フランスは日本と同じ3学期制をとっています。

年間のスケジュールは、年度や地域によっても違います。

一般的には、下記のスケジュールとなります。

【フランスの学期】

  • 1学期 9月1日~11月30日
  • 2学期 12月1日~2月28日
  • 3学期 3月1日~6月30日

フランスの学校は、日本より休暇が多いと有名です。

特徴1.フランスの学校は長期休暇が5回もある

なぜなら、フランスの学校では1年間に5回も長期休暇があるからです。

【フランスの長期休暇】

  1. カトリックの諸聖人の休暇:10月中旬~11月上旬の約2週間
  2. クリスマス休暇:12月中旬~1月初旬の約2週間
  3. 冬休み:2月上旬~3月上旬の約2週間
  4. イースター休暇:3月下旬~4月中旬の約2週間
  5. 夏休み:7月~8月下旬の約8週間

長いのは夏休み(約8週間)で、他は2週間ほどの短いものとなります。

ただ、子どもたちのとっては、休暇の回数が多い方が嬉しいかもしれませんね。

長期休暇が長い分、日本よりも祝祭日が少なく、振り替え休日もありません。

特徴2.学校行事はほとんどない

また、フランスでは学校行事がほとんどありません。

例えば、日本の学校では当たり前の次の行事がないのです。

【フランスで行われない学校行事】

  • 入学式
  • 運動会
  • 授業参観
  • 卒業式

なぜ学校行事が少ないかというと、共働きの親が多いためです。

学校行事があると、仕事を休まなければならなかったりと調整が必要になるので、親への配慮でそうなっているのだとか。

フランスの学費

フランスの公立学校の学費は、小学校~大学まで全て無料です。

フランスでは、小学校から大学まで授業料は無料です。

ヨーロッパでは、学費は社会が税金で負担するのが当然であるという考え方が根付いています。

そのため、大学は約2万円程度の学籍登録料などを負担するだけで通う事ができます。

数百万という大金を払って子どもを大学に通わせている日本人から見ると、大変うらやましいですね。

ただ、私立学校、インターナショナルスクールは有料です。

ですが、ある程度の収入がある家庭は、子どもを私立学校に通わせたいと思うようです。

なぜなら、次のような理由で私立学校の方がメリットが多いからです。

【私立学校に通うメリット】

  • セキュリティが安全である
  • ストライキで学校が休みになることがない
  • エスカレーター式で教育の質が良い
  • 公立学校に比べて問題児が少ない

フランスは学歴社会で、将来は名門大学に通わせたいと思う親が多いのもひとつです。

フランス教育のその他の特徴

フランスの教育は、日本と比べると他にも異なる特徴があります。

フランス教育の特徴

  1. 学校は勉強を学びに行く場所
  2. 学校にいる時間が長い
  3. 大学進学に必要なバカロレア
  4. エリート養成学校グランゼコール

フランスは私たち日本人が想像している以上に学歴社会です。

そのため、学問を最優先としている学校が多いようです。

それでは、ひとつずつ見ていきましょう。

特徴3.学校は勉強を学びにいく場所

フランスでは、学校は勉強学びに行く場所という意識が高いです。

ですから、日本の学校の授業のように、道徳や生活などの時間はありません。

行儀やマナーなどは、それぞれの家庭で学ぶものとされています。

そして、学校生活で周りに迷惑をかけないように過ごすというのは、当たり前のような風潮があります。

「自分のことは自分で考えて行動する」という個人主義のフランスならではですね。

そのため、行儀が悪く、周りに迷惑をかける子どもには、先生は容赦なく怒ります。

子どもに改善が見られない時は、親などの保護者が学校に呼び出されて、家庭で改善するよう注意を受けるのです。

フランスでは、日本のようなモンスターペアレントは少ないです。

特徴4.学校にいる時間が長い

フランスは、他の国に比べて子どもが学校にいる時間が長いです。

学校が始まる時間は8時前後と、特に早いという訳ではありません。

しかし、小学校1年生の時から16時頃まで授業を行います。

日本では、小学校1年生は14時~15時くらいには下校するので、それに比べるとやはり長いですよね。

しかも、高学年になると18時頃まで授業が続きます。

さらに、1時限目の授業が90分と、日本の小学校の2倍も長くなります。

そのため、小学校低学年の子どもたちの中には、学校にいる時間が長すぎて疲れてしまい、泣き出す子もいます。

ただ、この低学年の頃に長時間集中して学ぶということを覚えることで、勉強が苦にならなくなるというメリットもあるのでしょう。

特徴5.大学進学に必要なバカロレア

フランスには、全国共通の大学入学資格を取得するためのバカロレアという試験があります。

日本での高校にあたる、リセ(Lysée)を卒業する時に受けるテストです。

フランスの公立大学に入学試験はなく、バカロレアの成績が入学の条件になる為、生徒達にとっては将来を決めるとても大事なテストです。

フランス全土で、6月に7日間もかけてテストをするのです!

バカロレアには、次のように3種類あります。

【バカロレアの種類】

  1. 普通バカロレア
  2. 工業バカロレア
  3. 職業バカロレア

普通バカロレアは、大学進学を希望する生徒達が通うリセの卒業時に受けるバカロレアです。

普通科の中でも、エリート意識の強いフランスでは理系=エリートと考えられています。

工業バカロレアは、日本での工業高校のような、工業を専門としたリセに通う生徒達が、卒業時に受けるバカロレアです。

職業バカロレアは、将来手に職をつけて、その道を極めていきたいという生徒達が通うリセで、卒業の時に受けるバカロレアです。

このリセでは、職業国家資格(CAP・BEP)の試験を受け、国家資格を取得することも可能です。

世界的に有名なパティシエもこの資格を持っています。

国際バカロレアとの違い

国際バカロレアとは、国際バカロレア委員会が認定している世界各国のインターナショナルスクールで取得できるバカロレアです。

国際バカロレアは、「その国での教育制度や教育水準での資格である」という考え方が根付くフランスでは、正式に認められていません。

そのため、国際バカロレアを取得していても、フランスのバカロレアを取得していなくては通えない大学もあります。

フランスの学校生活

給食

フランスの学校にも、日本と同じように給食制度があります。

野菜やスープなどの前菜、お肉や魚のメイン、パンやライスなどの炭水化物と、栄養バランスもしっかりと考えられている給食です。

フランスの給食の様子は、下記の動画をご覧ください。

コーラもハンバーガーも食べない、健康的な食事ですね!

また、日本と異なるところというと、毎日生徒みんながそろって給食を食べる訳ではないという点です。

フランスのお昼休みは、2時間もあります。

そのため、昼休みに一旦帰宅して、家族と昼食を食べてから学校に戻る生徒もいます。

もちろん、この場合は家庭で昼食を用意しなければなりません。

しかし、デリケートな子どもや学校給食が苦手な子どもは、家で食べる方を選ぶため、家族が送迎するのです。

フランスでは、「食事の時間は家族と一緒に過ごす時間である」という考え方が根付いているので、家族も理解してくれるようです。

放課後の過ごし方

フランスの学校は夕方4時~6時に終わる為、放課後に遊ぶ時間がありません。

また、フランスの学校には、校庭がありません。

放課後に校庭で遊んだり部活動をする日本人にとっては、信じられないかもしれませんね。

体育館もない為、体育の授業は市営のスポーツ施設まで移動して行います。

フランスでは体育や音楽、図工などは重要視されていないのです。

帰宅後から就寝までの時間が短い為、宿題や夕食、お風呂などで、子ども達は忙しい毎日を過ごしています。

習い事もあまり盛んではなく、フランスの人達は根本的に家族と過ごす時間を第一に考えている印象です。

まとめ

ここまで、フランスの教育制度について紹介してきました。

日本と比べると、フランスでは様々な違いがありましたね。

最後に簡単にまとめてみました。

まとめ
  • 義務教育が3歳からスタートする
  • 長期休暇が5回もある
  • 学校行事がほとんどない
  • 公立学校は幼稚園から大学まで学費が無料
  • 学歴社会で学業重視
  • 学校で過ごす時間が長い
  • 放課後は遊ぶ時間がほとんどない

実際にフランスの事情を知ると、こんなにたくさんの違いがあってビックリしますよね!

個人主義で有名なフランス人は、幼い頃から長時間学ぶということを徹底して教わり、自分で考える力を身に着けるのでしょうね。

もし、子どもを連れてフランスに住むことになったり、子どもが留学したいといってきた時に、参考にしていただけたら嬉しいです。

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