イギリスの教育制度と特徴を分かりやすく解説!高校がないって本当?

イギリスの教育というと何を想像しますか?

実はイギリスといっても、スコットランドやウェールズなど4つに分かれ、その中でさらに教育制度や特徴に違いがあります。

義務教育の期間、1年間のスケジュール、学費のほか、イギリス特有のスクールなど、日本と異なる点も多いのです。

今回はイギリスの教育制度がどのようなものか、資料や友人知人への聞き込みなどをもとに様々な情報を集め、日本との違いをまとめてみました。

まずは、イギリスの教育制度の概要を見ていきましょう。

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イギリスの教育制度

項目 内容
学校制度 6・5・2・3(4)制

※スコットランドでは7・4・2・4制

義務教育 イングランド 5~18歳

スコットランド 5~16歳

ウェールズ 5~16歳

北アイルランド 4~16歳

学校年度 9月~翌年7月
学期制 3学期制
学費 公立:無料

私立:有料  ※学校によって異なる

(参考:外務省 諸外国・地域の学校情報 イギリス

イギリスの義務教育

イギリスとは、イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドの4つの国から構成されされる連合王国です。

そのため、それぞれが独自の教育制度を持っています。
義務教育の年齢は国ごとに以下の通りです。

【イギリスの各国の義務教育期間】

  • イングランド    5~18歳
  • スコットランド 5~16歳
  • ウェールズ   5~16歳
  • 北アイルランド 4~16歳

イギリスでは4歳または5歳から義務教育がスタートします。

4歳または5歳~11歳までが初等教育と呼ばれ、日本でいう小学校にあたります。

小学校に入るためには、「読み書きができる」、「かんたんな日常会話を理解できる」などが必要です。

そのため、3~4歳児が通うNursery ナーサリ―(日本でいう保育園)、4~5歳児が通うReception レセプションで学びます。

ナーサリーは義務教育期間ではないため、有料です。

一方で、レセプションは小学校の中にあり、義務教育期間なので無料です。

初等教育を終えたら、11~16歳が中等教育と呼ばれ、日本でいう中学校にあたります。

イギリスと日本との大きな違いは、高校がないという点です。

中等教育を卒業した後、16歳で大学に行くか、専門学校に行くか、就職するかを選びます。

中等教育の最終学年で、GCSE(General Certificate of Secondary Education 全国統一学力試験)を受験します。

進学や就職をする時に、このGCSEの成績がとても重要になります。

ちなみに、中等教育以降の進学率は85%以上です。

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イギリスの年間スケジュール

イギリスの1年間の学校のスケジュールは、9月に1学期が始まり、翌年の7月末で1年が終わります。

また、日本と同じ3学期制をとっています。

イギリスの学期制度は以下の通りです。

【イギリスの学期制度】

  • Autumn Term (1学期) :9月~12月
  • Spring Term (2学期):1月~4月上旬
  • Summer Term (3学期) :4月下旬~7月

各学期の中間に「Half-term」と呼ばれる1週間の休みがあります。

日本に比べるとかなり休校日が多く設けられています。

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イギリスの学費

イギリスには公立学校、グラマースクール、私立学校があります。

公立学校とグラマースクールは学費が無料です。

イギリスでは、小中学校は公立学校が最も一般的であり、イングランドとウェールズの学生は、ほとんど公立学校に通っています。

グラマースクールも学費は無料ですが、成績や才能を求めるテストに合格(日本でいう中学校受験)しなければ入学できません。

私立学校の学費は高額で、1年間の学費は1ポンド150円とすると、日本円で約180~230万円かかります。

私立学校はイギリス全土で2600校以上あり、学生の5%程度が通います。

私立学校に通う学生は、上層階級の裕福な家庭で育っていると言えるでしょう。

日本人でも有名な芸能人の子どもがイギリス留学している場合は、名門私立学校である可能性が高いです。

イギリス特有のスクール

イギリスの教育は、日本と比べるといくつか異なる特徴があります。

それが、イギリス特有のスクールの存在です。

イギリス特有のスクール

  1. グラマースクール
  2. ボーディング・スクール
  3. プレパラトリー・スクール

ひとつずつ見ていきましょう。

グラマースクール

グラマースクールは、日本でいう公立の中学校・高校にあたる進学校です。

名門の私立学校と肩を並べるほどの進学実績を誇り、公立学校で学費が無料のために年々人気が高まっています。


グラマースクールに入学する為には、「イレブン+(eleven-plus)」という試験に合格しなければなりません。

ただ、地域によって選抜のシステム、試験科目、受験時期などが異なります。

グラマースクールへの進学率は5%前後で、非常に狭き門なのが分かりますね。

そのため、グラマースクールを受験する子どもは、日本で中学受験をする子どもと同じように、塾や家庭教師などの受験対策を行います。

ちなみに、グラマースクールはイングランドと北アイルランドのみに存在し、スコットランドとウェールズにはありません。

試験に合格することが入学の条件であるグラマースクールとは別に、試験がなくて希望者は誰でも入学できるコンプリヘンシブスクールがあります。

ボーディング・スクール

ボーディングスクールは、日本でいう全寮制のインターナショナルスクールのような学校です。

世界各国から優秀な生徒が集まりますが、授業料が高いので、主に富裕層の子どもたちが集うことでも知られています。

現在世界で活躍しているたくさんの著名人たちは、ボーディングスクールで教養、知識を磨き、人脈を築いて成功を手にしています。

日本では、躾は各家庭で行われるため、学校などでは人間性を高める機会はあまりありません。

ですが、イギリスのボーディングスクールでは、規則、礼儀、道徳心などの生活面から、コミュニケーションスキル、我慢強さ、交渉力など様々な能力を磨いていきます。

学校によって、学力やスポーツなどの得意分野が異なるのも特徴のひとつです。

多国籍な学生が集まるグローバルな環境で、24時間体制で総合的に人間力をアップしていくため、1年間に500~700万円ほどの高額な費用が必要になります。

イギリス最古のボーディングスクールであるウィンチェスター・カレッジ(Winchester College)が有名です。

プレパラトリー・スクール

イギリスでは、私立学校の中のトップ10%を構成するエリート校をパブリックスクールと呼ばれています。

また、国や自治体から運営のための財源をと頼らず、独立した私立学校をインデペンデント・スクールと呼びます。

パブリックスクールやインデペンデント・スクールに入る為の準備教育を行う私立学校を、プレパラトリー・スクール(preparatory school)、通称プレップスクールといいます。

プレパラトリー・スクールは、8~13歳までの子どもが通い、多くが全寮制です。

ただ、最近は通学制もあり、音楽、芸術、スポーツなどに特化した分野のある学校も増えています。

イギリスの学校生活

給食

イギリスでは、給食を「school dinner」と呼びます。

日本は教室で給食を食べることが多いですが、イギリスはカフェテリアやランチルームのような場所で食べます。

日本のような給食当番はありません。

メニューはセルフサービスで、生徒の一人一人がトレーを持って並び、好きなものを取ります。

給食には、下記のようなものが出ます。

【給食のメニュー】

  • チキンのグリル
  • 野菜のボイル
  • ハンバーガー
  • トマトパスタ
  • チキンナゲット
  • フィッシュアンドチップス
  • ジャックポテト
  • フルーツ
  • マフィン

昔は加工食品が多かったようですが、人気シェフのジェイミー・オリバーが学校給食改善キャンペーンを行ってから良くなったようです。

給食代は300円程度。Reception Yearと呼ばれる最初の年(日本でいうところの小学1年生)から3年間は無料です。

放課後の過ごし方

イギリスの子どもたちは、放課後に次のような遊びをします。

【放課後の遊び方】

  • かくれんぼ
  • あやとり(ストリングゲーム)
  • なわとび
  • 泥遊びや粘土遊び
  • デン作り
  • カードゲーム
  • テレビゲーム
  • 自宅のプールやブランコ

イギリスの子どもが、日本でいうあやとりをしていたのには驚きましたね。

また、デン作りといって、外で枝や木を拾ってテントのような家を作る遊びもあるそうです。

イギリスの小学校と日本の小学校との大きな違いに、学校の登下校を一人でしてはいけないという決まりがあります。

つまり、親などの保護者による登下校の付き添いが必要なのです。

そのため、放課後子どもだけで遊んだり出かけたりするようなことはありません。

公園で遊ぶ時もお友達の家に行く時も、親や祖父母などが側にいなければならないため、日本に比べると大変な印象を受けるでしょう。

そういう事情もあり、放課後になると子どもたちは、習い事、学内のクラブ、アフタースクールクラブなどで時間を過ごします。

まとめ

ここまで、イギリスの教育制度について紹介してきました。

日本とイギリスでは様々な違いがありましたね!

最後に簡単にまとめてみました。

まとめ
  • 義務教育は4~5歳から始まる
  • 高校がない
  • 中学卒業後に進学か就職かを決める
  • イギリス特有のスクールがある

イギリスの義務教育は4~5歳と、日本よりも早いという特徴がありましたね。

また、高校がないことにも驚きました。

その他には、日本でいう公立学校の中高一貫校に似ている、グラマースクールがあったり、世界的に有名な名門私立学校であるボーディング・スクールなどもありました。

紳士淑女の国と言われるイギリスですから、躾や礼儀は幼いことから叩き込まれるようですね。

もし、子どもを連れてイギリスに住むことになったり、子どもが留学したいといってきた時に、参考にしていただけたら嬉しいです。

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