ドイツの教育制度と特徴を分かりやすく解説!小学校で将来が決まる?

ドイツの教育制度は、日本に比べると異なる点が多いといわれています。

例えば、ドイツは小学校卒業と同時に、進路を決めなければなりません。

日本では考えられませんよね?

この他、義務教育の期間、1年間のスケジュール、学費、またドイツ特有の教育の特徴があります。

今回はドイツの教育制度がどのようなものか、資料や知人への聞き込みなど様々な情報を集め、日本との違いをまとめてみました。

まずは、ドイツの教育制度の概要を見ていきましょう。

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ドイツの教育制度と特徴

項目 内容
学校制度 6・4制
義務教育 6~15歳または16歳

※州によって異なる

学校年度 8月~翌年6月、または9月~翌年7月

※州によって異なる

学期制 2学期制
学費 公立:無料

私立:有料  ※学校によって異なる

(参考:外務省 諸外国・地域の学校情報 ドイツ

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ドイツの義務教育

ドイツの義務教育は6歳から始まります。

ドイツには16の州があり、義務教育は州によって合計で9年間(6~15歳)のところと、10年間(6~16歳)のところがあります。

6歳~10歳をGrundschule(グルンドシューレ)と呼ばれる小学校で過ごします。

小学校で学ぶ教科は、州によってやや異なります。

主にドイツ語、算数、生活、体育、図工、音楽さらに第二外国語として英語やフランス語などです。

日本のように、社会や理科を学びません。

そして、小学校卒業後は進路によって通う学校が以下の3つに分かれます。

特徴1.小学校卒業後の3つの進路

  1. ギムナジウム(Gymnasium)
  2. レアルシュ-レ(Realschule)
  3. ハウプトシューレ(Hauptschule)

1つ目が、将来大学を目指す学生が進学するギムナジウム(Gymnasium)です。

ギムナジウムは、日本でいう大学進学コースです。

ドイツではいちばん人気のコースで、大学に進学する為の資格試験(アビトゥーアAbitur)が受けられる8年制の学校です。

人気なだけに競争率は高く、小学校卒業時の通信簿が日本でいう5段階評価の平均4.5以上の優秀な生徒でないと入学する事ができません。

2つ目は、将来専門分野などで活躍したい学生が進学するレアルシュ-レ(Realschule)と呼ばれる実科学校です。

勉強が苦手でも、専門大学に進み、手に職をつけてその道を極めたいという子どもが集まります。

ちなみに、レアルシュ-レでの成績が優秀だった場合は、ギムナジウムに転入することも可能です。

3つ目は、日本で職業訓練校や専門学校にあたる、ハウプトシューレ(Hauptschule)と呼ばれる基幹学校になります。

職人、美容師など手に職をつけたい学生が通います。

卒業すると修了証(日本での中学卒業資格)を授与され、ほとんどの卒業生がそのまま就職します。

最近はこれら3つをまとめた総合的な学校もできています。

いずれにせよ、義務教育期間である15歳(10年の州では16歳)までは通学します。

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ドイツの年間スケジュール

ドイツの1年間の学校のスケジュールは、州によってやや違いがあります。

なぜなら、休暇を大事にしているドイツでは、混雑を避けるために夏休みを州ごとにずらしているためです。

ある州では、8月の上旬に新学期が始まり、翌年の6月末に1学年が終わります。

また、別の州では、9月の上旬に新学期が始まり、翌年の7月が学年末です。

共通しているのは、夏休みの期間がおよそ6週間である点です。

また、3学期制である日本とは違い、2学期制をとっています。

長期休暇は春(イースター)に約3週間、夏に約2か月間、秋に約2週間、冬に約3週間と設けられており、日本よりもかなり休日が多い印象です。

それと、日本とドイツでは学齢の区分けが異なりますので注意が必要です。

日本では、学齢の区分け(同級生となる区分)は、4月1日~翌年3月30日です。

一方で、ドイツは7月1日~翌年6月30日です。

ドイツの学費

小学校から大学まで、ドイツの公立学校の学費は全て無料です。

留学生であっても無料なので、ドイツ留学を考えている方にとっては、かなりありがたいシステムですよね。

ただし、ドイツの公立学校の教育の質が低いという理由で、ドイツの多くの州で私立学校への人気が高まっています。

私立学校、インターナショナルスクールは有料です。

年間でおおよそ150~250万円ほどかかるらしく、公立の無料と比べるとかなりの格差を感じずにはいられません。

しかし、私立学校だからといって、全てが公立学校より優れているわけでは決してありません。

ですから、学校選びはたくさん情報を集めて、じっくりと検討する必要があるでしょう。

ドイツ教育のその他の特徴

ドイツの教育は、日本と比べると他にもいくつか異なる特徴があります。

ドイツ教育の特徴

  1. 小学校で将来が決まる
  2. 小学校でも留年がある
  3. 学校の部活動がない

小学校で将来が決まってしまうって、日本では考えられませんよね!

また、小学校に留年があるとは…、初めて私がこの事実を知ったときに、何とも厳しいところという印象を受けました。

それでは、ひとつずつ見ていきましょう。

特徴2.小学校で将来が決まる

ドイツの小学校は4年制で、修了後すぐに将来進むべき道を歩み始めなければなりません。

10歳(小学4年生)で将来を見据えた選択をするのです。

日本の小学校は入学後6年で卒業し、たいていの子どもがそのまま地域の中学校へ進学します。

3年間の中学校生活の中で少しずつ将来の職業を意識し始め、それに向けた高校を受験しますよね。

中学校を卒業して就職を選ぶ学生もいますが、多くは高校に進学します。

そして、高校に通いながら、卒業したら大学や専門学校などへの進学、または就職という選択をします。

つまり、日本では高校を卒業する18歳で多くの学生が進路を決めるのに対して、ドイツは10歳で決めなければならないのです。

この8年というのは大きな差ですよね?

しかも、ドイツでは一度進路を決めてしまうと、進路変更が難しいという問題もあります。

小学校の時の成績が悪いと、大学進学が難しくなります。

こんなに幼い子どもの時に、一生が決まってしまうことがあるというところに、ドイツのシビアさを感じました。

特徴3.小学校でも留年がある

ドイツでは、小学校でも留年があります。

授業についていけないと担任に判断された場合、保護者である親や子供本人の同意を得たうえで、留年となります。

無理をして進級しても、かえって子どもの成長には悪影響ですから、親もそこまで否定的にはとらえないようです。

ただ、留年する子どもの割合としては、1学年でおよそ2、3人程度です。

一方で、成績優秀な子どもには飛び級制度もあります。

飛び級とは、通常1つずつ学年が上がっていくところを、学年を飛ばして一気に2つ以上学年が上がることを言います。

ただ、あまり大きなメリットがないという理由で、ドイツでは飛び級制度を利用する子どもは少ないようです。

他には、ギフテッドクラスといって、IQが極めて高い子どもを集めた授業をしている学校もあります。

特徴4.学校の部活動がない

ドイツの学校には、日本のような部活動というものがありません。

なぜなら、ドイツでは学校は勉強を学びに行くため場所という位置づけだからです。

ですから、スポーツ、音楽、芸術などを学びたい学生は、それぞれの家庭で習い事として通う必要があります。

もちろん、その費用は家庭が負担します。

習い事の費用は、日本に比べると安いです。

例えば、水泳は1回のレッスンで300円~500円。

また、ドイツの子どもの習い事は多種多様です。

  • サッカー
  • 水泳
  • ピアノ
  • ヴァイオリン
  • 空手
  • ダンス
  • バレエ
  • 乗馬

スポーツや音楽関係が多いようです。

特に、スポーツではサッカーと水泳、音楽ではピアノとヴァイオリンが人気。

ドイツの学校生活

給食

ドイツでは、給食というものが存在しません。

低学年のうちは授業が午後12時には終わるので、帰宅後にお昼ごはんを食べます。

高学年になると午後の授業が始まるので、学食や売店、お弁当でお昼を済ませる子どももいます。

ですが、何も食べずに午後の授業を受ける子どももたくさんいます。

日本のように、クラスの皆で同じ時間に同じものを食べる、という習慣はないのです。

放課後の過ごし方

ドイツの学校は、8時前から始まるところが多く、午後の早い時間帯に授業が終わります。

そのため、放課後に習い事をする子どもが多いです。

中でもサッカー、水泳、バレエ、乗馬などはとても人気。

一方、ドイツでも公園で遊んだり、お友達の家に遊びに行ったりする子どもも当然見られます。

レゴ、カードゲーム、かくれんぼ、携帯ゲームなど、日本でもメジャーな遊びはドイツでも人気です。

ドイツでの定番遊びに、隠した鍋を見つけ「Topfschlagen(鍋たたき)」や、猫役が周りの子どもを笑わせる「Armer schwarzer Kater(哀れな黒猫)」というものがあります。

小さい子でもできる遊びで、日本での宝探しやにらめっこと通じるものがありますね。

日本では、放課後に公園などに行くと、顔見知りの子がいたり、そのうち知らない子どもも集まってきていつの間にか一緒に遊んでいたりします。

ですが、ドイツではそのような場面は見られません。

お友達と遊ぶ時は、電話で親同士が連絡を取り合ってから遊びます。

塾や習い事に行く時も、お友達の家に行く時も、親の送り迎えが徹底されているのです。

まとめ

ここまで、ドイツの教育制度について紹介してきました。

私がドイツの教育制度を初めて知った時は、小学校卒業とともに、将来の進むべき道がある程度決まってしまう点、小学校でも留年してしまう点など、ドイツ教育って厳しいなと感じました。

日本は早くても中学校卒業を卒業する15歳までは、進路を決めなくても良いのに、ドイツの子どもは10歳で進路が決まってしまうのですから…。

また、学校生活では、給食がなかったり、部活動がないなど日本との違いも感じました。

習い事については、サッカー、水泳、ピアノが人気など日本と似ている点もありましたね。

このように、ドイツと日本の違いを比較するだけでも、色々と知ることができて楽しいですね。

もし、子どもを連れてドイツに住むことになったり、子どもが留学したいといってきた時に、参考にしていただけたら嬉しいです。

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